今も、紬とふたり暮らしの千咲を気遣ってなにかと差し入れを持って遊びにきてくれるし、なにより一緒にいてとても楽しい。千咲にとって、とても大切な親友だ。
「いつ? どこで? 向こうはなにか言ってきた?」
「しーっ! 紬が起きるよ」
「あっ、ごめん!」
紬は未依にたっぷり遊んでもらって疲れたのか、三人でお昼ごはんを食べてすぐに眠ってしまった。
口元を押さえながらも気になって仕方ないという表情の未依に、千咲は先週起こった出来事をかいつまんで話した。
「この前、おばあちゃんのお墓参りに行ったんだけど、そこに居合わせた人が急に倒れちゃったの。緊急性が高いからってドクターヘリが来て、下りてきたフライトドクターが紬の父親だった」
ヘリから降りてきた櫂は、千咲をひと目見てひどく戸惑った顔をした。しかしすぐに糸井に視線を移し、処置を施しながら『点滴にアドレナリン入れて』とフライトナースに指示を飛ばす。そして気道を確保するため手際よく挿管すると、再び千咲に視線を戻した。
『ご主人に持病は?』



