二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~


「祖母は、私の勤務中に倒れたんです。この暑い中、庭先で⋯⋯。私がちゃんと検査を受けるように言っていたら、助けられたかもしれないのにっ⋯⋯」

じわっと目に浮かんだ涙が視界を揺らす。

祖母は数日前から頭痛がすると言っていたのに、『大丈夫だから』という祖母の言葉を鵜呑みにして病院で検査を受けさせなかった。

夢だった救命救急士になったのに、一番大切な人を救えなかった。

情けなくて、悔しくて、申し訳なくて、どんな顔をして祖母の死に向き合ったらいいのかすらわからない。

「それは君のせいじゃない。そう言っても、きっと納得しないんだよな」

櫂の言う通りだった。誰になにを言われても、千咲は自分を責めるのをやめられない。あの時こうしていたら、もっとこう言っていたら。そんな後悔が次から次へと湧いてくる。

「安易に共感するなと怒られるかもしれないけど、救いたいのに救えなかった辛さは、俺にもわかるよ」

感情を抑えた声音に、千咲は顔を上げて隣を見た。