命の現場で働く同志としての激励に、胸が熱くなる。
すると、千咲を抱きしめる腕の強さが急に強まった。
「⋯⋯ひとつだけ、聞きたいんだけど」
「なんですか?」
痛くはないけれど、きつく抱きしめられて少し苦しい。なんとなく躊躇いがちに口を開いた櫂に、千咲は首をかしげる。
「あの事故の日、現場に駆けつけた救命士とは同じ職場なんだっけ?」
「田上さんですか? そうですよ。新人の頃からお世話になってて、異動先も一緒だったからビックリしました」
「千咲が復帰したら、彼と同じ救急車に乗るのか?」
「どうでしょう? 班体制によっては、そうなるかもしれませんね」
田上は優秀な救命士のため、学ぶべきところが多い。また一緒に働けるのなら、それはとても幸運だ。
そう話すと、櫂は千咲を抱く腕にさらに力を込める。
「か、櫂さん⋯⋯ちょっと、強いです」
「⋯⋯お礼の弁当は、本当に作る気?」
なんのことかわからず、きょとんとした千咲を解放しながら、櫂は大きなため息をついた。



