二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~


そして、千咲は怪我が完全に治ったのをきっかけに、救命士として復帰することを決意した。

「おばあちゃんを助けられなかった後悔は、きっと一生私が背負うべきものだと思います。それでも、私は誰かの命を救える仕事を諦めたくないって改めて思ったんです。櫂さんにも負担をかけてしまうかもしれないですけど、もう一度救命士として働きたい」

紬が眠ったあとの夫婦の時間。千咲が自分の気持ちを偽りなく伝えると、彼は嬉しそうに頬を緩めた。

「もちろん、千咲の決断を応援する。紬を預けている院内の託児所は二十四時間預かってくれるけど、なるべく千咲の勤務日と俺の夜勤が被らないように調整しよう」
「はい」
「忙しくてすれ違うこともあるかもしれない。でも、そういう時こそ話をしよう。時間なんていつでも作れる。もう俺は、二度と千咲を失いたくない」
「私も、もう離れたくないです」

隣に座っている櫂に抱き寄せられ、千咲は素直な思いを打ち明けた。

「ありがとうございます。櫂さんがいてくれるから、もう一度救命士として頑張ろうと決意できました」
「それは千咲が強いからだ。決して楽な仕事ではないけど、一緒に頑張ろう」
「はい」