二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~


申し訳なさに身が縮む思いの千咲だったが、櫂の『千咲の怪我もそうだけど、紬だって初めての大人と会うのなら慣れた場所の方がいいだろ。両親も同じ考えだったよ』という言葉に納得すると同時に、紬を思い遣ってくれる心に深く感謝した。

そしていざ会ってみると、櫂の母親である富美は拍子抜けするほどあっさりと千咲と紬を受け入れてくれた。

『可愛いお嫁さんだけじゃなくて、一気に孫までできたなんて嬉しいわ。うちは男兄弟でしょう? 小さな女の子を抱っこする機会なんてなかったのよ』

人見知りを発揮し、最初は千咲にしがみついていた紬だが、富美が持参したおもちゃに目を輝かせ、いつしかちゃっかり富美の膝の上に陣取っていた。お気に入りのゾウのぬいぐるみを持ち出し、一緒にままごと遊びまでし始めただけでなく、『じょーしゃん!』と初めて言葉を意味のある単語を発したのだ。

「紬の初めての言葉が『ゾウさん』とはな」
「ふふっ、ビックリですよね。じぃじとばぁばに教えてあげたかったの?」
「たーいっ! じょーしゃん!」

櫂の両親が帰宅すると、紬は櫂の膝の上に座り、お気に入りのゾウのぬいぐるみを抱っこしている。

(本当によかった⋯⋯)