「櫂さんが海外派遣の打診を断ったのは、私たちのためかもしれない。そんな懸念が湧いて、あなたの邪魔にはなりたくないと思いました」
すると、目の前の櫂が驚愕の表情を浮かべた。
「待ってくれ、千咲。それは――」
必死になにかを言い募ろうとする彼の言葉を遮り、千咲は話を続ける。
「でも、それは私の憶測です。なにも聞かずに身を引いたら、二年前となにも変わらない。だから考えました。きちんとあなたに理由を聞いて、もしも本当に櫂さんが海外派遣を断った理由が私たちなのだとしたら、一緒に探したいんです。家族になったとしても、櫂さんの医師としての将来を狭めない道を」
永遠の愛を一緒に探したいと言ってくれた彼と、家族の形を模索したい。
千咲の言葉に、彼は目を見張った。
「それって⋯⋯」
「私も、あなたと家族になりたい」
「千咲⋯⋯」
「今日は、それを伝えたいと思っていたんです。ずっと中途半端なままでいてごめんなさい。臆病で、一歩踏み出すのが怖かったんです」



