二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~


「心配をかけてしまって、すみません」
「縫合したって聞いた。痛むか?」
「痛み止めを処方してもらったので、今は大丈夫です」

櫂は無事を確かめるように、千咲の頬を大きな手で包み込む。

「千咲、結婚しよう。君たちになにかあった時、俺に連絡がないなんて⋯⋯なにも知らないままいたかもしれないなんて、考えただけでもゾッとする」

真剣な眼差しに射すくめられ、千咲はただ彼を見つめ返す。

「千咲を愛してる。なにか不安に思っているのなら、俺が取り除く。だから――」
「私も、櫂さんが好きです」

それは飾らない思い。真摯なプロポーズに心が震え、考えるよりも先に言葉が零れ落ちた。

けれどもうひとつ、千咲には伝えなくてはならないことがあるのだ。

言うのなら、今しかない。千咲は大きく息を吸った。