ありがたい反面、身に余る待遇に申し訳なさが募る。
「どうぞ座ってください。荷物、ここに置きますね」
「ありがとうございます」
付き添ってくれた沖田が、千咲のバッグをソファへ置いてくれる。腰掛けながらお礼を告げて彼を見上げると、先ほどまでの看護師としての穏やかな笑みではなく、好奇心でいっぱいの顔つきでこちらを見ていた。
「あの、なにか?」
「あっ、不躾にすみません。あの須藤が慌てた姿を初めて見たなーって。それだけあなた達が大切なんですね」
救急車が病院に到着した時のことを言っているのだろう。あの時は千咲も柄にもなく号泣してしまったため、今思い出しても恥ずかしい。
「すみません、取り乱してしまって」
「いえ、お子さんが怪我をしたら焦りますよね。それは須藤も一緒みたいですし」
「えっと、あの⋯⋯」
さらりと言われたが、千咲は返答に迷う。先ほどの櫂を見れば千咲と親しいのは一目瞭然だろうが、紬が彼の娘だと肯定していいのだろうか。



