「娘さんの擦り傷の応急処置は完璧だったのに、自分は後回しだったのか。これ、小指折れてるだろ」
「⋯⋯たぶん」
救急車が櫂のいる病院に走り出す。少しだけホッとしたせいか、徐々に手足の痛みが増してきた。
「頭は打ってないか?」
「私は大丈夫です。でも⋯⋯」
「娘さんも、今のところバイタルは安定してる。ぐっすり眠ってるみたいだしな」
田上の言葉に頷き、唇を噛みしめる。
(大丈夫、きっと櫂さんがいてくれる⋯⋯)
何度も、何度も心の中で唱える。そうしていないと、不安で泣いてしまいそうだった。
十五分ほどで救急車が病院の救急玄関へと停車する。ドアが開き、待ち構えていた救急医の顔を見た瞬間、ぶわっと涙が溢れてきた。
「櫂さん⋯⋯」
「千咲っ?!」



