二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~


「すみません。どなたか、ハンカチかタオルを公園の水道で濡らしてきてもらってもいいでしょうか」
「私が行ってくるわ」
「それから、警察にも電話をお願いできますか」
「あ、今あそこの兄ちゃんがしてくれてるよ。他に、なにかあるかい?」
「ありがとうございます。もし可能なら、近くのコンビニで水と氷を買ってきていただいてもいいですか? あればガーゼも。お金は――」
「金はいいよ! 待ってな、行ってくる!」

たまたま居合わせた人たちの優しさに、千咲は深く頭を下げた。

そうして協力してもらって手に入れたタオルや水で、千咲はテキパキと紬に応急処置を施していく。濡らしたタオルで土埃や血を拭い、擦り傷をペットボトルの水で洗ってガーゼで保護をした。

「運転手の方にも濡れたタオルと氷を。頭の他にも怪我をしているようなら、患部を冷やしてもらってください。でも、もしお酒を飲んでいるようならお水を飲ませるのは控えた方がいいかもしれません」

もしも本当に飲酒運転だったのなら、そういうことは警察が来てから指示を仰いだほうがいいだろうと判断した。

応急処置はこの中で誰よりも千咲が手慣れているだろうが、紬を抱きかかえていては動けない。紬はすでに泣き止み、腕の中でくったりとしている。