千咲の脳裏に、祖母を亡くした悪夢が蘇る。
(もう、大切な家族をなくすのは嫌⋯⋯!)
千咲は腕の中の紬をぎゅっと抱きしめる。
泣いている紬をあやす余裕はなかった。徐々に腕や指先、脚までジンジンと燃えるように痛み、恐怖に身震いする。
周囲には大きな音を聞きつけた人たちが野次馬のように集まってきていた。
日曜日の午後、普段ならば多くの親子が楽しく遊んでいる公園が、一変して騒然となった。
「だ、大丈夫ですか?」
「誰か、救急車を呼んだ方がいいんじゃないか」
「運転手は無事なのか?」
ざわざわと喧騒が広がるが、誰もがなにをすべきかわからず、非常事態にただおろおろとしているのが見て取れる。
ひとりの女性が救急車を呼んでくれているようだが、事故を目の当たりにして動揺しているのか、かなり慌てていて要領を得ない様子だった。



