こうした紬の成長を、これまでは千咲ひとりで噛み締めていたけれど、今後は櫂と一緒に喜ぶことができる。
そう考えると、心がじんわりとあたたかくなった。
「あ、信号が青になったよ。青は〝進め〟だねー」
「ねー」
「ふふっ」
あまりの可愛さに、敢えて「ねー」と言わせては笑ってしまう。
紬の手を引いて公園前の横断歩道を手を繋いで渡っていると、右側から白い乗用車が走ってくる。車側は赤信号のはずなのに、その乗用車はスピードを落とす気配がない。
(危ないっ⋯⋯!)
千咲は咄嗟に紬の手を引き寄せた。守るように腕に抱きかかえ、必死に走り出す。
しかし、千咲の背負っていたリュックが突進してきた車の一部に引っかかったらしく、身体が引きずられるように地面へと転がった。
アスファルトに左半身を思いっきり打ちつけ、肌が削られるように擦れる。熱く鋭い痛みが腕や脚に走った。



