二度と恋はしないと決めたのに~フライトドクターに娘ごと愛されました~


櫂はこの二週間、時間がある時には家に寄ってくれた。時間はまちまちだけれど、紬と遊ぶために家に上がり、夕食を食べていくこともあった。

今さらな質問の意図がわからない千咲に、櫂は小さくため息をついた。

「忘れてるかもしれないけど、俺も男だ。そんな風呂上がりの無防備な姿で、君に好意を抱く男を家に上げていいのか?」
「えっ? あっ⋯⋯!」

櫂の言葉で、自分が今どんな格好をしているのかを見下ろした。

ダボッとした薄いTシャツに、膝が隠れるくらいのハーフパンツというパジャマ姿。ドライヤーを終えているとはいえ洗いざらしの髪、スキンケアを終えたばかりのテカテカの顔、おまけに猫の耳がついたヘアバンドが乗っかっている油断した姿は、少なくとも異性に見せるものではない。

「すっ、すぐに着替えてきます! 上がって待っててください」

恥ずかしさで熱くなった顔を隠し、叫ぶように告げて家の中に逃げ込む。背後から「⋯⋯ったく、可愛すぎるだろ」という呟きが聞こえた気がしたが、千咲はそれどころではなかった。