「旦那さんが帰国したら、すぐに離婚を切り出すの?」
「うん。こういうのは、きっと早い方がいいから」
「もう一度、ゆっくり話し合ったりは⋯⋯?」
千咲の言葉に、未依は瞳を揺らす。けれど、すぐに首を横に振った。
「律くんは優しいから、私が切り出さない限り離婚はしないと思うんだ。自分から『家族になろう』って言った手前、きっと私を放り出せないの。でも、女性として見てほしいって頼み込んでまで夫婦でいるのは、私もちょっと辛いかな」
「未依⋯⋯」
「あーあ、私も千咲くらい美人で大人っぽかったらなぁ」
「未依は可愛いよ! 女の子らしくて、明るくて優しくて、私がほしいもの全部持ってる。私が男の人だったら、絶対未依を選ぶよ」
「ふふっ、ありがと。そんなこと言ってくれるの、千咲くらいだよ」
未依はそう言うけれど、千咲が伝えたのはすべて本心だ。結婚したにも関わらず、未依にこんな悲しい笑顔をさせる彼女の夫は、一体なにを考えているのだろう。
(きっと、なにか事情があるんだよね)
誰しも口にできない思いや事情があるのは、千咲にだってよくわかる。



