けれど今の未依は悲しげで、諦めきった表情をしている。まさか初恋がこんな結末を迎えるとは思ってもみなかったはずだ。
「もう吹っ切れてはいるんだ。だって、学生時代からずっと女として見られてないんだもん」
「そんな⋯⋯」
未依のように可愛らしく優しい女の子にずっと好意を抱かれていたというのに、女性として見ていないなんてあり得るのだろうか。
「もし私のことをひとりの女性として見てくれてたら、一緒に暮らしてた四年間になにかあっただろうし、櫂くんみたいに海外行きをすっぱり断るのは難しくても、悩むくらいはするでしょ?」
「⋯⋯え?」
思わぬ発言に、千咲は戸惑った声を上げる。
「みんなビックリしてたもん。律くんの次に海外派遣されるのは櫂くんだって思ってたのに、あっさり断ってたから。もちろん周りに理由は言わなかったけど。大切にされてるんだね、千咲と紬ちゃん」
微笑む未依に、千咲は頷けなかった。
(櫂さんに、海外派遣の話が出てたってこと?)
再会してから何度も櫂に会っているけれど、そんな話は聞いていない。



