* * *
「へぇ。それじゃ、櫂くんとはうまくいってるんだね」
千咲の話を聞いた未依が、ビーフシチューオムライスを頬張りながら嬉しそうに目を細めた。
十月中旬の土曜日。未依が『母親だって、たまには息抜きも必要だよ!』と、今話題のオシャレなカフェのランチプレートをテイクアウトしてきてくれたのだ。
「うん。おかげさまで」
未依と会うのは、中庭で櫂と再会した日以来。あれから櫂とふたりできちんと話して誤解を解き、これから家族になるために少しずつ距離を縮めている最中だと説明した。
「先週は三人で動物園に行ってきたの。大きい動物は怖がるかなって思ってたけど、ゾウとかキリンに大興奮だった」
「それで、あのぬいぐるみ?」
先にお昼ごはんを食べ終わった紬が、居間の隅にあるテントの中でゾウのぬいぐるみを相手におままごとをして遊んでいる。
「うん。ゾウを気に入ってたし、記念に買おうって櫂さんが」



