クルスはアディを欺き謀反を企てた罪人。
過去には魔界で魔法書を盗み、ディアの記憶を封印。さらには禁断の魔法の乱用。何よりもエメラに手を出した罪は重い。
エメラの懇願で死刑は免れたとしても、さすがに無罪はありえない。
しかしエメラ一人のために、これだけの罪を重ねたクルスの愛も深い。
執愛とは、一途な愛とも言える。
「エメ姉、どうしたの? 何か問題あるの?」
何食わぬ顔をしているアディを見て、エメラは深読みをした。
「さ、さすがアディ様ですわ……罪を赦すなんて、なんと寛大な御心を持つ魔獣王で……」
「え? 赦してないよ」
どうもアディの発言は要領を得ない。
ここは、ちゃんとした説明を求めるしかないが、アディはすでに聞いちゃいない。
「あ、クルスくん。エメ姉は懐妊したからさ。僕たち、もうすぐ結婚するよ。ふふ、気分はどうかな?」
「おめでとう……ございます……」
クルスは心底悔しそうにして声を絞り出した。
それを見たエメラは気付き始めた。前言撤回、これがアディの『裁き』なのだと。
「あはは! そうだよね、悔しがるがいいよ。言ったでしょ、死刑なんてつまらない。クルスくんには一生、絶望の生き地獄を味わってもらうからね」
心底楽しそうに笑いながら悪魔のようなセリフを吐くアディの恐ろしさは、すでにあの魔王を超えている。
アディの裁きとは、死よりも辛い苦痛を与える事。
絶対的な愛を見せつけた上で、徹底的に精神を破壊する。それも目の前で。
魔力と魔獣の姿を封印されているクルスには、抵抗も逃亡も不可能。
「クルスくんは城に住み込みだ。部屋を与えてあげただけでも、ありがたく思うんだね」
「ありがとう、ございます……」
クルスは側近として働いても無給だが、城で最低限の生活は保障される。罪人にしては逆に手厚い待遇とも言える。
「不満そうな顔だね。部屋が嫌なら別に地下の牢獄でもいいんだよ」
「いいえ。不満は、ありません……」
こんなやり取りを見ていると、さすがに罪人でもクルスが気の毒になってくる。
このままではエメラも気分が良くないし、なんとか良い道はないものだろうか。
過去には魔界で魔法書を盗み、ディアの記憶を封印。さらには禁断の魔法の乱用。何よりもエメラに手を出した罪は重い。
エメラの懇願で死刑は免れたとしても、さすがに無罪はありえない。
しかしエメラ一人のために、これだけの罪を重ねたクルスの愛も深い。
執愛とは、一途な愛とも言える。
「エメ姉、どうしたの? 何か問題あるの?」
何食わぬ顔をしているアディを見て、エメラは深読みをした。
「さ、さすがアディ様ですわ……罪を赦すなんて、なんと寛大な御心を持つ魔獣王で……」
「え? 赦してないよ」
どうもアディの発言は要領を得ない。
ここは、ちゃんとした説明を求めるしかないが、アディはすでに聞いちゃいない。
「あ、クルスくん。エメ姉は懐妊したからさ。僕たち、もうすぐ結婚するよ。ふふ、気分はどうかな?」
「おめでとう……ございます……」
クルスは心底悔しそうにして声を絞り出した。
それを見たエメラは気付き始めた。前言撤回、これがアディの『裁き』なのだと。
「あはは! そうだよね、悔しがるがいいよ。言ったでしょ、死刑なんてつまらない。クルスくんには一生、絶望の生き地獄を味わってもらうからね」
心底楽しそうに笑いながら悪魔のようなセリフを吐くアディの恐ろしさは、すでにあの魔王を超えている。
アディの裁きとは、死よりも辛い苦痛を与える事。
絶対的な愛を見せつけた上で、徹底的に精神を破壊する。それも目の前で。
魔力と魔獣の姿を封印されているクルスには、抵抗も逃亡も不可能。
「クルスくんは城に住み込みだ。部屋を与えてあげただけでも、ありがたく思うんだね」
「ありがとう、ございます……」
クルスは側近として働いても無給だが、城で最低限の生活は保障される。罪人にしては逆に手厚い待遇とも言える。
「不満そうな顔だね。部屋が嫌なら別に地下の牢獄でもいいんだよ」
「いいえ。不満は、ありません……」
こんなやり取りを見ていると、さすがに罪人でもクルスが気の毒になってくる。
このままではエメラも気分が良くないし、なんとか良い道はないものだろうか。



