全てを仕組んでいたのはアディも同じ。
アディとクルスは最初から互いを陥れようとしていた。
結局は権力も魔力も、そして狂愛も。全てにおいてアディは勝っていた。
「クルスくん、思い知るがいいよ。エメ姉に近付く者は許さない」
アディは最初の公言通り、エメラを奪おうとしたクルスに対して『絶対的な愛を見せつけた上で、徹底的に精神を破壊する』手段を実行したのだ。
気付けば城を囲っていた結界が消えている。クルスの魔力が欠乏して魔法を維持できなくなったのだ。
という事は全ての魔法が解けて、城の者たちの記憶操作も解けたはず。
これでクルスを守るものはもうない。
「く、そ…… アディ、アディィィ……!!」
恨み言のようにアディの名前を叫びながらクルスは踠き苦しむが、単に発狂した訳ではない。
その異常な様子を見ていたエメラが危機感を覚える。
(クルスさんの様子が……これは……!)
クルスは地面に膝を突いたまま頭を抱えるようにして蹲まる。
次第に、その体が発光して光に包まれていく。
(魔力が完全に尽きたのですわ!)
混血のアディとは違って、純血の魔獣であるクルスは変身魔法によって人の姿を留めている。
魔力が尽きれば魔獣の姿に戻り、さらには自我を失ってしまう。
巨大な黒い魔犬の姿に戻ったクルスは、理性を持たない凶暴な魔獣そのもの。
だが潜在意識は残っているのか、エメラではなくアディに狙いを定めた。
「アディ様!!」
「大丈夫だよ、エメ姉は下がってて。ふん、まったく野蛮だね!」
アディは軽く身構えると、全身に魔力の光を纏わせていく。その光が膨張しながら魔獣の姿を形成していく。
光が収まると、そこにはクルスと同じく黒い毛並みとコウモリの羽根を持つ巨大な犬の魔獣が現れた。
これが魔獣と悪魔の血を持つアディの、もう1つの姿。魔獣バードッグの姿である。
アディとクルスは最初から互いを陥れようとしていた。
結局は権力も魔力も、そして狂愛も。全てにおいてアディは勝っていた。
「クルスくん、思い知るがいいよ。エメ姉に近付く者は許さない」
アディは最初の公言通り、エメラを奪おうとしたクルスに対して『絶対的な愛を見せつけた上で、徹底的に精神を破壊する』手段を実行したのだ。
気付けば城を囲っていた結界が消えている。クルスの魔力が欠乏して魔法を維持できなくなったのだ。
という事は全ての魔法が解けて、城の者たちの記憶操作も解けたはず。
これでクルスを守るものはもうない。
「く、そ…… アディ、アディィィ……!!」
恨み言のようにアディの名前を叫びながらクルスは踠き苦しむが、単に発狂した訳ではない。
その異常な様子を見ていたエメラが危機感を覚える。
(クルスさんの様子が……これは……!)
クルスは地面に膝を突いたまま頭を抱えるようにして蹲まる。
次第に、その体が発光して光に包まれていく。
(魔力が完全に尽きたのですわ!)
混血のアディとは違って、純血の魔獣であるクルスは変身魔法によって人の姿を留めている。
魔力が尽きれば魔獣の姿に戻り、さらには自我を失ってしまう。
巨大な黒い魔犬の姿に戻ったクルスは、理性を持たない凶暴な魔獣そのもの。
だが潜在意識は残っているのか、エメラではなくアディに狙いを定めた。
「アディ様!!」
「大丈夫だよ、エメ姉は下がってて。ふん、まったく野蛮だね!」
アディは軽く身構えると、全身に魔力の光を纏わせていく。その光が膨張しながら魔獣の姿を形成していく。
光が収まると、そこにはクルスと同じく黒い毛並みとコウモリの羽根を持つ巨大な犬の魔獣が現れた。
これが魔獣と悪魔の血を持つアディの、もう1つの姿。魔獣バードッグの姿である。



