魔獣界の城へと帰り着いたエメラは、その足で執務室へと向かう。
クルスには休憩時間を与えて、しばらく別の場所にいてもらう事にした。エメラがアディと二人きりになるためだ。
深呼吸をした後に、エメラは執務室のドアを開けて中に入る。
「アディ様、ただいま帰りましたわ」
エメラはアディの座るデスク前まで歩み寄って立ち止まる。
魔法書を読んでいたアディは、その分厚い本に向けた視線をエメラに移した。
「うん、ご苦労さま。よく我慢したね、偉いよ」
「……恐れ入りますわ」
「約束通り、ご褒美をあげるよ。すぐに楽にしてあげ……」
エメラの顔を見上げたアディは、その顔色を見てすぐに気付いた。エメラにかけた魅了の魔法が解けている事を。
バァン!!
アディは手に持っていた辞書のように分厚い魔法書を床に投げて叩きつけた。
そして椅子が倒れそうなほどの勢いで立ち上がると、エメラの両肩を乱暴に掴む。
「……っ! アディ、様……」
「答えろ!! なんで解けてるんだよ!? 僕しか解けないはずなのに!!」
まだ魔法の効果が自然に切れるほどの時間は経っていない。だとすると、他に魔法を解く方法は1つ。エメラの心身が『満たされる』しかない。
だが本来、それが出来るのは術者であるアディの他にいないはず。
「誰が解いた!? 僕以外の誰がエメ姉を満足させたんだよ!? クルスか!?」
「ち、違います……!!」
今のアディにはエメラの言葉すら届かない。何を言ったとしても、もうアディの狂愛は止められない。
クルスには休憩時間を与えて、しばらく別の場所にいてもらう事にした。エメラがアディと二人きりになるためだ。
深呼吸をした後に、エメラは執務室のドアを開けて中に入る。
「アディ様、ただいま帰りましたわ」
エメラはアディの座るデスク前まで歩み寄って立ち止まる。
魔法書を読んでいたアディは、その分厚い本に向けた視線をエメラに移した。
「うん、ご苦労さま。よく我慢したね、偉いよ」
「……恐れ入りますわ」
「約束通り、ご褒美をあげるよ。すぐに楽にしてあげ……」
エメラの顔を見上げたアディは、その顔色を見てすぐに気付いた。エメラにかけた魅了の魔法が解けている事を。
バァン!!
アディは手に持っていた辞書のように分厚い魔法書を床に投げて叩きつけた。
そして椅子が倒れそうなほどの勢いで立ち上がると、エメラの両肩を乱暴に掴む。
「……っ! アディ、様……」
「答えろ!! なんで解けてるんだよ!? 僕しか解けないはずなのに!!」
まだ魔法の効果が自然に切れるほどの時間は経っていない。だとすると、他に魔法を解く方法は1つ。エメラの心身が『満たされる』しかない。
だが本来、それが出来るのは術者であるアディの他にいないはず。
「誰が解いた!? 僕以外の誰がエメ姉を満足させたんだよ!? クルスか!?」
「ち、違います……!!」
今のアディにはエメラの言葉すら届かない。何を言ったとしても、もうアディの狂愛は止められない。



