「締め切りギリギリまで頑張ったから、眠いのよ」

叔母は小説家を目指しているが、今のところ実績はない。

「ねえねえ、何処か遊びに行きたい」

「無理よ。お金がないもの」

普段、叔母は父の店を手伝う代わりに、我が家に居候している。

「お金さえ払えば、遊んでくれるの?」

「変な言い方をするんじゃないの。まぁでも、お金さえあればね」

「オッケー!じゃあ、資金調達してくる!」

私は、両親の様子を見ていたが、専業主婦の母はアテにならない。

父も、基本的にはおおらかな性格だが、締り屋。

綺麗なお客さんと、何か怪しげな様子があれば、口止め料を請求したのだが、昨日の今日だから難しい。

そうなると、あとはもう祖父しかいない。

一階の奥の祖父の和室で、

「おじいちゃーん」

猫なで声を出して接近する。

「おや、どうした?」

「ねえねえ、肩凝ってない?」