「言ってませーん。お姉ちゃんには頼まない!」

地元の四流大学に通う姉は、元の顔がわからないほどの濃いメイクをしていたから、今夜もディスコにでも繰り出すのだろう。

姉がダメなら、次は叔母かな。

二階の叔母の部屋のドアには、Don’t Disturbというプレートがぶら下がっている。

え?自宅に叔母が住んでいるなんておかしい?

あまり公にしていないが、実は私の両親はいとこ同士。

叔母は、父の妹であり、母の従妹かつ親友で、更に言えば両親のキューピッド。

要するに、一家全員が血縁関係にある。

「おばちゃん、起きてる?」

「プレートが読めないのかい?」

「読めない。入るね」

昼夜逆転も甚だしく、叔母はベッドの中で怠そうにしていた。

母に言わせれば、私は両親よりも叔母にそっくりらしいが、まさか本当の母親はこちらなのではないかと思うほど、性格は似ている。