しとしと、と雨は降る。
運命も雨のように冷たかった。

あれからお師匠と鬼は一夜、互いに語り合っていた。
私はすぐに寝たけど、二人はいつ寝たのか分からない。
今日は雨がしとしと、と降っていた。

「夕露?」

「あ、おはよう御座います!お師匠」

私は雨に瞳を奪われていて、お師匠が近付いてくるというのに、気付かなかった。
いつもと変わらないお師匠。
私は何故かホッとした。
すると、

「夕露、貴方に一つお願いがあります」

お師匠は真剣な表情で私に言った。
珍しい、お師匠からのお願いだなんて‥
私は返事をした。

「私の弟子として、彼の生き様を見届けては頂けませんか?」

「彼って‥鬼ですか!?」

「‥私の体じゃ、もう旅に出ることが不可能なのです」

お師匠は寂しげに口を開く。
元気なのに、体中がぼろぼろだと告げられて、私は大きなショックを受けた。
あんなに優しい方がどうして‥
私はキュッと拳を握り締めた。

「私、、本当は鬼が怖いんです。けど、お師匠の命令は絶対に受けます。だから‥安心して下さい」

「‥有難う、夕露」

お師匠は私の両手をキュッと握った。