それぞれ違う生き物たち
行き交う先は同じ結末
だが道筋は違う
人生は必ずしも被らない
それが世界の謎である


阿修羅は謎の左手を解禁し、気を失っている。
夕露までも氷麟に力を吸い取られ、氷麟は人の姿になった。


「もしかして郷炎は火だから?」

夷餡様を逃がし、氷麟に刃を向けた。
僕は正直、楽しみで胸が破裂しそう。
氷麟の目の前で郷炎の刃から火を出す。
当たり前のように、冷たい瞳で僕を見る。

「郷炎が火属性だからじゃと?儂に弱点はない!」

「本当に主とソックリ‥」

氷麟は右手を氷で覆い、刃を作り出した。
そのまま凄まじい速さで、僕に突っ込んできた。

郷炎の刃を横にし、構える。
相手は氷麟、失敗は許されない。

「溶けちゃいな、紅炎!」

突っ込んできた氷麟の目の前で、青い炎が彼女に襲いかかる。
もう終わりだよ。
僕はそう思ったが、

「ぬるいぞ、郷炎」

「!?」

氷麟は粘り強く、無傷で炎の中をかき分けてきた。
そのまま僕の首を左で掴み、氷の刃を向ける。

「くっ!」

「夷餡の居場所を教えるんじゃ」

氷麟は刃を胸もとに当てる。
苦しい、左手に徐々に力がこもっていた。