すると、夷餡は桜華爛漫の刃を点に向け、輝きを集め始めた。
辺りには風が吹き荒れ、とても人並み外れた技だと感じた。
「桜華爛漫に宿いし龍よ、汝の輝き我に与えたまえ。虹輝(コウキ)!!」
「虹‥?」
私に見えたのは虹のように綺麗な光。
次の瞬間、風に引き寄せられる感覚がした。
「そんなの効かねえよ。とっとと凍れ」
「フフフ、甘いよ。‥桜吹雪の舞」
「!?」
虹のような輝きは阿修羅によって切り裂さかれ、光の隙間から桜の花びらが舞った。
ふと、夷餡を探した。
彼が桜吹雪の舞を放った瞬間、見当たらない。
すると、阿修羅は鼻で笑い冷気を辺りに溜めていた。
一体、何が‥
「水城、俺にしがみついてろよ」
「お、重いよ!?」
「大丈夫だ。命より軽い」
「命よりって‥!」
阿修羅は私の両腕を首に巻かせた。
近い。まるで阿修羅が私を抱っこしているようだ。
命より軽い、彼がしたい行動が全く分からなかった。
私はキュッと瞳を閉じて身を任せた。
「夷餡、もう終わりだ」
「何言ってんの?ほら、桜の花びらを感じてよ!!」
バッと桜の花びらを掻き分けて、夷餡が刃を向けた。
間に合わない、桜の花びらが視界を邪魔する。


