(マンガシナリオ) 白雪姫は喋らないー口下手な姫くんは怖そうだけど優しいですー

「やっぱり、間に合わなかった……」
 私は白雪くんを無事に第三講義室へと送り届けたわけだけど、勿論その後からでは私の受ける筈だった授業には間に合わなかったわけで、私は早々に諦めて食堂で時間を潰していた。
 次の科目までは暫く時間が空く。
 前までだったら時間潰しに最適なものを持っていたんだけど今はそれも持っていない
「……あれ?」
 持ってきていないのは確定なのにそれでも名残惜しくてカバンを探っていれば今日帰り道に現像に出そうと思って持ってきていた筈のフィルムケースが見当たらないことに気付く。
「さいあく……どこで落としたんだろ……」
 私は頭のなかで今日行ったところを思い返す。
 今日通ったところはそんなに多くない。
 食堂までの道筋と後は第三講義室までの道のり。
 もう一度通ってみて、なければ落とし物の確認に行こう。
 そう頭のなかで予定をたてていれば不意に、食堂が少しだけ騒がしくなっていることに気付いて顔をあげる。
「っ……びっ、くりした……白雪くん、どうしたの?」
 一瞬、息が止まるかと思った。
 白雪くんが立っていたのだ、それも私が座っている席の目の前に。
「…………これ」
 慌てて取り繕う私に白雪くんは一言それだけ言ってあるものを差し出してくる。
「あ、これ、フィルムケース……やっぱり落としてたんだ……」
「…………それじゃ」
 フィルムケースを受けとると話す間もなく白雪くんは踵を返して早歩きに去っていってしまうから
「あ、待って! ありがとね白雪くん、わざわざ持ってきてくれて」
 私は慌てて白雪くんの後ろ姿にそう声をかける。
「っ……」
 一瞬、白雪くんの足が止まる。
「白雪くん?」
「…………」
「っ……」
 呼び掛けたのは私なのに、いざ振り向かれて面を食らったのも自分だった。
「あ、白雪くん……待っ……行っちゃった……」
 だけど白雪くんはすぐに顔を背けてそのまま歩いて行ってしまう。
 だけど
「……あれは、どういう顔なの……」
 その色白の顔を少しだけ朱に染めて恥ずかしそうに口をへの字にした白雪くんの顔がどうしても消えてくれなくて、そのまま私は机に顔を突っ伏した。