今日は朝から最悪だった。
…いや、別にずっと最悪だったわけでは
ないけれど、どちらかと言えば
最悪寄りってことで。
「ひなじゃん!!!」
「…詩夢《しゆ》」
会うはずもないと思っていた
友だちに会ったのだ。
しかもよりによって、西苑 詩夢《さいえん しゆ》に。
彼女は図書館なんてくるタイプじゃない
まぁ彼女に言わせれば私も
図書館に来るタイプじゃないんだろうけど
「ひなが図書館なんて珍しい」
ほらね。
仮にも学校では陽キャで1軍のメンバーだ。
学校の図書館すら行かない奴が
わざわざ休みの日に公共の図書館なんて
何か理由があるに違いない。
申し訳ないけど私が詩夢の立場だったら
そう思うし、そうだとしたら理由が
気になり過ぎるもん。
「え、なに、なんかあったん」
嬉々として近づいてくる彼女に
今に気持ちがバレない様に深呼吸をしてから
顔を作れ、と自己暗示をかける。
嫌な顔をするな
変な顔をするな
笑え、笑え、笑え!
「別に、気まぐれ?
ってかそれ言うなら詩夢も珍しくじゃん」
「私は課題図書借りに来たんだ」
…そうだった、詩夢はあの中でも真面目で
先生たちからも一目置かれている。
私たちと同じだけど同じじゃない
そう言う人なんだった。
「ちょっと話そうよ」
素直で眩しくて明るくて
こんな人になりたいって誰もが思う
そんな子なんだった。
…あぁ、嫌だ。
この感情と今だけはお別れできると
思っていたんだけどなぁ
「うん、いいよ」
嬉しそうな詩夢に誘われて向かったのは
彼がいる中庭。
予想もしていなかった展開によって
過去一で彼との距離が近くなる。
昨日のあれが気のせいだったとしても
私がやっていることへの気まずさがある訳で。
大きな木を囲う様にある丸いベンチに
先客がいる事に気づいた詩夢は
彼に背を向ける場所へ腰をかけた。
「最近どうよ」
彼女の隣に腰をかけると始まった会話
他愛のない、まるで学校の休憩時間のような
あまりにもいつも通りの会話に
普段なら感じない疲労が襲ってくるのは
会う予定のない人に会ったからか
それとも近くに彼が居るからか。
どれくらいの時間を過ごしていたか
彼女のスマホが鳴り出した事を
きっかけに終わったソレは
私に疲労と不安しか与えなかった事を
再確認した訳で。
我ながら良く毎日耐えてるよなぁ…
「はぁ」
大きく吸った息は短いため息となって
風に流れていく。
まだ風が吹いてて良かった
そうじゃなきゃ、私に溜まったものは
流れる事なくその場に留まって
次の呼吸で自身の体に戻ってくる所だった。
「今日は帰ろう」
自分が何のために今日ここに来ていたか
忘れてはいけない事を忘れた私は
再度ため息をついてからその場を去った。
「いっちゃった」
一瞬強く吹いた向かい風が
さらった彼の言葉なんて聞こえる訳もなく
…いや、別にずっと最悪だったわけでは
ないけれど、どちらかと言えば
最悪寄りってことで。
「ひなじゃん!!!」
「…詩夢《しゆ》」
会うはずもないと思っていた
友だちに会ったのだ。
しかもよりによって、西苑 詩夢《さいえん しゆ》に。
彼女は図書館なんてくるタイプじゃない
まぁ彼女に言わせれば私も
図書館に来るタイプじゃないんだろうけど
「ひなが図書館なんて珍しい」
ほらね。
仮にも学校では陽キャで1軍のメンバーだ。
学校の図書館すら行かない奴が
わざわざ休みの日に公共の図書館なんて
何か理由があるに違いない。
申し訳ないけど私が詩夢の立場だったら
そう思うし、そうだとしたら理由が
気になり過ぎるもん。
「え、なに、なんかあったん」
嬉々として近づいてくる彼女に
今に気持ちがバレない様に深呼吸をしてから
顔を作れ、と自己暗示をかける。
嫌な顔をするな
変な顔をするな
笑え、笑え、笑え!
「別に、気まぐれ?
ってかそれ言うなら詩夢も珍しくじゃん」
「私は課題図書借りに来たんだ」
…そうだった、詩夢はあの中でも真面目で
先生たちからも一目置かれている。
私たちと同じだけど同じじゃない
そう言う人なんだった。
「ちょっと話そうよ」
素直で眩しくて明るくて
こんな人になりたいって誰もが思う
そんな子なんだった。
…あぁ、嫌だ。
この感情と今だけはお別れできると
思っていたんだけどなぁ
「うん、いいよ」
嬉しそうな詩夢に誘われて向かったのは
彼がいる中庭。
予想もしていなかった展開によって
過去一で彼との距離が近くなる。
昨日のあれが気のせいだったとしても
私がやっていることへの気まずさがある訳で。
大きな木を囲う様にある丸いベンチに
先客がいる事に気づいた詩夢は
彼に背を向ける場所へ腰をかけた。
「最近どうよ」
彼女の隣に腰をかけると始まった会話
他愛のない、まるで学校の休憩時間のような
あまりにもいつも通りの会話に
普段なら感じない疲労が襲ってくるのは
会う予定のない人に会ったからか
それとも近くに彼が居るからか。
どれくらいの時間を過ごしていたか
彼女のスマホが鳴り出した事を
きっかけに終わったソレは
私に疲労と不安しか与えなかった事を
再確認した訳で。
我ながら良く毎日耐えてるよなぁ…
「はぁ」
大きく吸った息は短いため息となって
風に流れていく。
まだ風が吹いてて良かった
そうじゃなきゃ、私に溜まったものは
流れる事なくその場に留まって
次の呼吸で自身の体に戻ってくる所だった。
「今日は帰ろう」
自分が何のために今日ここに来ていたか
忘れてはいけない事を忘れた私は
再度ため息をついてからその場を去った。
「いっちゃった」
一瞬強く吹いた向かい風が
さらった彼の言葉なんて聞こえる訳もなく
