いやいやジャンヌダルクって、私は矢面に立って矢で打たれた事もなければ、そんな勇敢で恐ろしいものでもない
「その噂って全部新庄さんが発信源ですよね？」
私は疑いの目で新庄さんを見た
「あら、あなたが来た時からみんな噂してたわよ？筒屋フーズとの合併の話は前から出てたから、吸収合併されるこのタイミングでジュニアの婚約者としてやってきたあなたは、きっと合併話を破談にするための切り札だろうって」
「合併話ってそんな前から出てたんですか？」
私は新庄さんの言葉が信じられなかった
少なくとも派遣でのうのうと総務の雑用をこなしていた私には、合併の話は届かなかった
「そうね。。役付きの職員はみんな知ってたわ。ジュニアを会社に入れたのも、筒屋フーズのお嬢さんと結婚させて、合併話をまとめるためだろうってみんな言ってたわ」
それって。。つまり。。瀬野君は結婚して合併話をまとめる為にこの会社に入れられたって事⁈
それじゃあ瀬野君は生贄みたいなものじゃない⁈
「でも、その合併話も破談になった訳だから、これからこの会社がどうなるのか？今度は違うフード会社との合併話をまとめるのか？鍵はジュニアだってみんな言ってるわ」
まああなたはジュニアが引き上げた訳だから、あなたも鍵なんじゃないかってみんな言ってるわ
そう言うと新庄さんはいけない、遅れる、行くわよと言って声をかける
私ははい。と言って早足で付いて行った