次の日会社に行くと、また私を見るみんなの目が変わっていた
今度は憧れの目や、黒いひそひそ声の噂というより、恐れを帯びた尊敬の眼差しだ
一体どういう事だろう?と私が不思議がっていると?
「おはよう中野さん。聞いたわよ。ジュニアの筒屋フーズのお嬢さんとの縁談をぶち壊しにいったんでしょ?」
後ろから私に話しかけたのは私の所属する商品開発部の主任の新庄さんだ
この会社はジュニアのする事は何でも筒抜けなのか⁈
何でそれを?私は唖然とした顔で聞き返す
「この会社の私の情報網を舐めないで。社長付きの秘書室勤務の子が言ってたの。新部長とあなたが縁談をぶち壊しに行くって二人だけで話してたって?」
それで縁談は破談になったんでしょ?
新庄さんは興味津々、目を輝かせて嬉しそうだ
ハー。大きな会社でも滅多な事はできないものだなと頭を抱えてしまった
「もう会社では噂になってるわよ。ジュニアに見そめられた商品開発部の中野瑞穂が婚約者として現れて、筒屋フーズとの合併の話を破談にした。中野瑞歩は三ケ田フーズのジャンヌダルクだって」