電気屋さんはすぐに来てくれたが、やはり年数が経っているということもあり、買い換えた方が早いと示唆された
とりあえず買い換える方向でお願いしたが、新しい洗濯機到着までに1週間くらいはかかるということで、それまでは暫く近くのコインランドリーで対応する事になった
これから職を失う身なのに何て痛い出費だろう
私は重なる不幸を呪いたくなったが、仕方ないとなけなしの貯金を崩すのだった
家での洗濯で間に合っていた私は、滅多にコインランドリーを利用したことがない
正直嫌だったが、新しい洗濯機が来るまでの我慢だと割り切り、仕方なくコインランドリーに足を延ばした

🎵フンフンフフン🎵
菜乃花は先程まで観ていたゆもんちゃんのエンディングテーマを口ずさんでご機嫌だ
普段あまり行かないコインランドリーに行くというだけでも嬉しいようだ
子どもはいいなーと思う
きっと箸が転げても笑えるに違いない
私は何でも楽しめる菜乃花が羨ましくなった

コインランドリーに着くと、あまり人はいなく、一人だけモサっとした髪型のメガネを掛けた男性が座っていた
いかにも冴えない風貌に、服装もジーパンにパーカーと全く気合いが入っていない
コインランドリーに行くのにそんなに気合を入れた格好をする人はいないのだから当たり前かと納得するが、それにしても見た目を気にしないんだなと言ってしまいそうになった

「あっ、瀬野君だー」
菜乃花はその男性と前から知り合いなのか、寄っていって話しかけている

「あっ、菜乃花」
私が止めるのも聞かないで菜乃花はキャッキャと嬉しそうだ