恋心はシェアできない


私たちは昼食を終えると女将さんに教えて貰った通り、“神狐大社”に向かった。

お参りを済ませると私は広告のPRになりそうな写真を次々とスマホに収めていく。


「どう、撮れた?」

「うん、これだけあれば大丈夫そう」

「そっか。はい、これどうぞ」

「ありがとう」

私は碧生が自販機で買ってきてくれたアイスティーを受け取ると彼に着いてベンチに向かう。

ベンチに腰を下ろすと碧生がコーヒーを飲むのを見て私もアイスティーに口づける。


「はぁ、おいし。景色もいいし。登るの大変だったけど」

「この神社、ここまでで五百十六段あるらしいよ」

「五百十六段? なんか中途半端な数字だね」

「だろ、で咲希が写真撮ってる間に神主さんが通りかかったからきてみたらさ、“恋結び”の語呂合わせだってさ」

碧生の言葉に私は目を丸くした。

「ん? こいむ(516)すび? ってこと?」

「正解」

「なんか狐の神様っぽいような、駄洒落すぎるような」

「でもなんかこれも使えそうじゃね」

「確かに」

彼の言葉に頷けば、山の涼しい風がさぁっと吹いて碧生の髪を揺らす。私はアイスティーを半分ほど飲むと、タイミングを伺う。


(今しかないよね)

私は碧生に向かって小さく口を開いた。