恋心はシェアできない


──二時間後、私たちは無事に、隣の県にある神狐市(かみきつねし)に到着した。

「ふぅー、空気新鮮」

「だな」

私が大きく伸びをするのを見ながら碧生も同じように長い両腕を伸ばす。

「運転お疲れ様、ありがとう」

「どういたしまして。それにしても都内から二時間で別世界じゃん」

「本当に。えっとまずは商店街だね」

「そうだな、今回のメインだからな」

パーキングに車を停めて十分ほど歩けば商店街にたどり着く。

レトロ感満載のアーケードがあり、入り口には『神狐商店街へようこそ』という横長の看板が掲げられていて、さらにその下には狐のキャラクター『コンコン』のパネルが置いてあり、記念撮影できるようになっている。

「コンコンだって。狐かわいー」

「撮ってやろうか?」

「えっ、いいよ」

「取材も兼ねてんだし。写真大事だろ」

「コンコンだけで良くない? 私いる?!」

「いいからいいから〜」

碧生は私を『コンコン』の隣にぐいっと立たせると、自分のスマホを取り出す。

その時だった。


「──あらあら、撮りましょうか」