恋心はシェアできない

「声大きいよ。てゆうかなんで知ってるの?」

私が彼女の口から手のひらを離すと梓が声のボリュームを落とす。

「翔太郎に聞いた。碧生がカーシェアしてる車、使っていいかって連絡きてて」

「あ、そうだよね。車だよね」

神狐町は車なら二時間程だが、交通機関を使うと待ち時間などで二倍近くかかってしまう。なんとなくそうだろうなとは思っていたが、二人きりで車ででかけるなんて今から心拍数が上がりそうだ。


「咲希はいつ告白するの?」

「えっ!? 私?!」

「なんか見てたらじれったくてさ」

肘で痛くない程度に私の腕を突く梓を見ながら、私は眉間に眉を寄せた。

「梓ー。どこをどう見たらそう見えるのよ」

「全部だけど」

「はぁ。酔ってるでしょ」

「酔ってるのは否定しません。でもさー、碧生って咲希によく構うイメージだし、何かと気にしてるじゃん」

「あぁ、それは前も言ったけど猫に似てるんだって」

「なるほど~ようは可愛いってことでしょ?」

梓がとろんとした目で私を見つめてきて、私はふっと笑うと指先で梓の頬をツンと突いた。


「いま襲っちゃいたいくらい可愛いのは梓」

「もうっ、話すりかえないで」

まだ酔いが回っている梓は大きな二重をきゅっと細めてみせると、私の頬を突き返して来る。

「あのね。咲希は自分で思ってる以上にいっぱい魅力があるんだから」

「はいはい。今度酔ってない時に言って。梓に言われたら自己肯定感爆上がりしそうだから」

「うーん。なんでそんなに自信ないの?」