恋心はシェアできない

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(まさか……二人きりで出かけるなんて……)

私はあのあと、いつものように洗い物を買ってでると、そのあとシャワーを浴び自室へと戻ってきた。

『タマコの家』の間取りは5LDKで一階にリビングやダイニング、シャワー室といった生活スペースがあって、二階は八畳ほどの広さの部屋が四つある。

そこを四人それぞれの自室として使っているのだ。私の部屋は階段を登って左右に二つずつある部屋の右手の奥。隣は梓の部屋で向かいが碧生、残りが翔太郎くんの部屋となっている。

私はぼんやりしながらドライヤーで髪を乾かし終わると、落ちた髪の毛をコロコロで掃除する。

その時、急に部屋の扉が開いたと思ったら背中から誰かが抱きついてきた。


「咲希~、ただいまぁ~」

「梓! うわ、お酒くさ」

「ごめ~ん」

梓はそう口にしながらも、ここに居座る気らしく扉を閉めると私の隣に腰を下ろす。


「翔太郎くんとのデート楽しかったみたいだね」

「そうなのそうなの~! 一緒に映画見て、そのあと飲んで帰るのがこんなに楽しいなんて」


梓は手に抱えていたペットボトルの水を飲みながら、身振り手振りを交えながらデートの一部始終を陽気に話す。

「翔太郎ね、私の好きなポップコーンも買ってくれたし、映画のチケットも予約してくれてたんだー」

「うんうん。それから?」

「で、映画見たら私の好きな焼き鳥のお店に連れて行ってくれて、楽しくおしゃべりして、手を繋いで帰ってきたの」

「なるほど」

初めて梓に会った時の第一印象は誰もが振り返る正統派美人、そのひとことに尽きるほど芸能人のようなオーラと美貌に、思わず同性ながら感嘆のため息を漏らしたことを覚えている。

ぱっと見、冷たい雰囲気があるが口を開けばとにかく気さくで、姉御肌の梓は男女問わず人気がある。当然、言い寄る社内外の男達は多かったが梓は入社してからずっと恋愛なんて懲り懲りだと片っ端から断っていた。

そんな梓と私が仲良くなったキッカケは、彼女が会社の帰り道に見知らぬ男からナンパされて手を掴まれているところを、私が割って入り二人で撃退したことからだ。