合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「僕も今から食べるんだけど、ここ座っていい?」

「はい、もちろん」

 笑顔を向けると増田は悠磨の向かい側に座り、レジ袋から院内のコンビニで買ってきたと思われるおにぎりとサンドイッチを取り出す。

 増田は呼吸器外科の男性医師だ。悠磨よりふたつ年上で応際大学の先輩でもあるので、なにかと話すことが多い。
「しかし、どんな美女に迫られても笑顔で交わし続けてきた望月先生が結婚して、奥さんの作った弁当を食べる日がくるとはねぇ」
 
 増田は感慨深げな顔でサンドイッチにかぶりつく。

「たまたまいい縁があったので」

 悠磨はそつのない笑みを浮かべながら、ピーマンのベーコン炒めに箸を伸ばした。

 『好きで構わせていただきます』と高らかに宣言してから半月ほど。鈴菜は開き直ったかのように悠磨の世話を焼き、スケジュールに合わせて食事を準備するようになった。

(購入を了承したら、すぐにダイニングにテーブルセットが運び込まれていて驚いたな)