合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「ああ、すまない。昨日帰ってきてシャワーを浴びた後、いつのまにかここで寝落ちしたみたいだな」

 髪をかき上げながら「たまにやるんだ」と他人事のように返され、鈴菜は自分の眉間に力が入るのを感じた。

 ローテーブルの上を見ると、空になったゼリー飲料の容器とミネラルウォーターのペットボトルが転がっている。

 きっと夜中に帰ってきて、シャワーを浴びた後、スマートフォンで仕事の資料を読んでいる内に意識を失うように寝てしまったのだろう。病院で夕食が取れなかった代わりにゼリー飲料で済ませたに違いない。

「……今日もお仕事なんですか?」

 無意識に声が低くなっていた。

「ああ。今日は朝から外来がある」

 三日帰ってこなかったというのに、彼はまたこれから仕事に向かうらしい。

「朝ごはんは?」

「時間があったらコンビニで適当に買う。そろそろ仕度しないと」

 スマートフォンを拾い上げ、時間を確認する悠磨の横顔を見て鈴菜の中で、なにかがちぎれる音がした。

(もう無理、黙っていられない!)

「悠磨さん、もう少し人間らしい生活しませんか⁉」