合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 恐る恐る声をかけたがなんの反応もない。顔から血の気が引く音がした。足をもつれさせながら近づくと、ソファーの上にはTシャツとスウェットのパンツを身に着けた悠磨がうつ伏せで倒れていた。体はピクリともせず、横顔は青白い。床には彼のスマートフォンが放り出されている。

「悠磨さん!?」

 鈴菜は悲鳴を上げ、彼の体に被さり揺するが目は閉じたまま。頭の中が真っ白になった。

「き、き、救急車……」

 震える声で立ち上がったとき、大きな体がわずかに身じろぎした。

「ん……」

「悠磨さん!」

 鈴菜が目を見開くと、悠磨は上半身を起こして不思議そうに鈴菜を見上げてきた。

「……鈴菜? どうしたんだ」

「大丈夫ですか⁉ どこか痛いとか、具合の悪い所とかありませんか?」

 鈴菜は慌てて彼の横に座り、顔を覗き込む。

「いや、どこも悪くない」

 悠磨は眠そうな顔で首を回している。本当に大丈夫そうだ。

「よかっ……よかった……倒れているし、反応がないから、もしかしたら死んじゃったのかと……」

 鈴菜はソファーの上でヘナヘナと脱力する。寿命が縮まるとはこういうことを言うのだろう。