合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 人生において、なにより仕事を優先したいと考えていると言い放っただけある。やっぱり彼は自他とも認める〝仕事バカ〟だった。

 悠磨が干渉されたくないのは重々理解している。でも、世話焼き気質の鈴菜としては彼の健康が気になってしょうがない。

 朝も食べずに出て行くのを見てやんわり指摘したら『朝食なんて食べなくても死なない』と医者とは思えない発言が帰ってきた。

「無理して倒れでもしたら大変なのに。せめてご飯くらいは、ちゃんとしたものを食べてくれるといいんだけど……」

 鈴菜は軽く溜息をつき、小松菜のお浸しに箸を伸ばした。


 事件が起きたのは翌朝のことだった。

(昨日も悠磨さん、病院に泊まり込みだったのかな)

 顔を洗い髪を整え、静まり返ったリビングに足を踏み入れた鈴菜は、目に入ってきた光景にビクリと肩を揺らし固まった。

(え、足?)

 ソファーの端から裸足の足首が二本出ている。

「……あの、おはようございます?」