合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 嫌な予感が当たったようだ。悠磨は仕事に注力するあまり、私生活をないがしろにする人のようだ。

「そんな食生活だと体を壊しちゃいます。ここにいる間くらい、私が用意しますよ」

「これまで一度も体調を崩したことはないから、その必要はない」

 鈴菜の提案は即座に却下される。

「でも……」

(それって、まさに〝医者の不養生〟なのでは?)

 モヤモヤしていると小さなため息が聞こえた。

「俺のことは気にしなくていい。前にも言ったが、俺は妻として君になにかしてもらおうと思っていない。ただここで一緒に暮らしているという実績があればいいんだ」

 どうやら、悠磨は〝干渉するな〟と言いたいようだ。実質居候の鈴菜がこれ以上が出しゃばるわけにもいかない。

「もちろん俺も君に構わないつもりだ。物がなくて不便なら君の好きなように増やしていい。他で生活で困ることがあったら言ってくれ――じゃあ、俺はシャワーを浴びるから」

「……はい」

 なにも反論できないまま、自室に向かおうとする悠磨を見送っていると、急に彼が足を止め振り返った。