合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 さすがにそんなはずはない。すぐに思い直し明るく声を掛けた。これから半年は対外的には夫婦としてこの家ですごすのだ。まずはいい関係を築いておきたい。

「ああ、よろしく。もう片付けは済んだのか?」

「はい、あらかた終わりました」

 靴を脱ぎ、リビングに向かう悠磨の後ろを歩きながら、鈴菜はすぐに気になっていたことを切り出した。

「あの、悠磨さんはあまりこの家には帰ってきていない感じですか? あまりにも室内が殺風……物がなさすぎて」

 その殺風景なリビングに立った悠磨はこちらを振り返った。

「そうだな、ここは必要最低限な物しか置いていない。掃除も洗濯も、定期的にハウスキーパーが入っている」

「ハウスキーパー」

(なるほど。だから、忙しいのにこんなに綺麗な状態がキープできているんだ)

 物が少ないからハウスキーパーも掃除しやすいだろうな、などと余計なことが頭をよぎる。

「食事はどうしているんですか?」

「病院で仕事の合間にコンビニで適当に買って済ましている。家ではカップラーメンかゼリー飲料だな」

「やっぱり……」