合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

「一緒に住むといってもプライバシーは保証するし、君になにかさせる気はないし干渉もしないつもりだ。ただ、六月にある葛西教授の出版記念パーティだけは妻として同伴してもらう。そ2か月後くらいに離婚すれば、トータル半年くらいか。離婚して傷ついた俺は二度と結婚などせず生涯独身を貫く決心をする、というわけだ」

 彼の中では完璧な筋書きが出来上がっているようだ。納得したようにうなずいている。

「ここまで散々協力したんだ。今度は君が誠意を見せてくれてもいいだろう?」

「うっ……」

(誠意を見せろって、この人本当にお医者さんですか?)

 悠磨は悪い顔で的確にこちらの痛い所を突いてきた。追いつめられた鈴菜はもう一度考える。

 正直、悠磨の提案は精神的メリットがかなり大きい。なにより自分が新郎役を頼んでしまったせいで彼の仕事に悪影響が出るのは嫌だった。

(婚姻届を出して半年同居、その後は離婚か……うん、いけるんじゃない?)

 嘘の結婚式を挙げる決断をしたときより、簡単に心が決まった。

「……わかりました。半年間だけ、お世話になります」

「ああ、よろしく」

 しっかり伝えると悠磨は満足そうに笑った。