合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

(〝幸せな結婚式〟って……悠磨さんもそう感じてくれてた?)

 今日の結婚式も、それに続く披露パーティもその場にいた人たちが自然に笑顔になるような温かさに満ちた場になった。たくさんの人に祝われ、途中から鈴菜は土谷のことなど気にならないくらい、幸せな花嫁になりきっていた。悠磨も同じような思いであの場にいたのだろうか。

「……そうかもしれませんが、そんなにすぐ噂なんて流れるでしょうか」

 なんとなく気恥ずかしくなって、彼から視線を外す。

「残念だが、うちの病院はこの手の話はあっという間に広がるんだ。届けも出さずに別居のままだったら確実に不審に思われるだろうな。さらに今日のことがぜんぶ見せかけだったと知られたら、俺の立場も悪くなりかねない。本当に結婚し離婚したという〝実績〟が必要となる」

 落ち着いた様子の悠磨に次々と現実的な話を畳みかけられる。混乱しつつも鈴菜は必死に頭を回転させる。

 たしかに、今日招待した方の中には葛西教授のように病院の偉い人もいたから、見せかけの結婚式だとバレたら間違いなく悠磨の立場は悪くなるだろう。