合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 心強い言葉に鈴菜はしっかり頭を下げる。

「じゃあ、ふたりとも結婚式がんばって」

 純也は軽く手をあげて先にチャペルに向かった。

 
 父親とともに歩くバージンロード。今まで裏方として花嫁を何度も見守ってきた。でも今は自分が主役だ。

 チャペルの後方では璃子がいつもの鈴菜のように担当プランナーとして控えていた。さっきは感動で泣きそうになっていたが大丈夫だろうか。冷静に考えながら一歩一歩足を進める。

 やがてこちらを待つ新郎の隣に立ち、指輪を交換し、幾久しく夫婦であると誓う。

 悠磨の手が伸び花嫁のベールが静かにあげられた。目を細めてこちらを見つめる悠磨の表情は心から新婦を愛する新郎にしか見えなかった。

(……うん、やっぱりパンフレットに使いたいくらいかっこいい)

 浮かれた新婦になりきると言ったものの、今、鈴菜はこの状況を他人事のように考えて心を落ち着かせようとしていた。自分がこの麗しき新郎の隣で嘘の誓いをした罪の意識に押しつぶされそうだったから。