合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 鈴菜はスマートに差し出された悠磨の手を取り、椅子から立ち上がる。ドレス自体は動きやすいものを選んだものの、高いヒールは履きなれない。

 すると純也がそっと近づいてきた。

「鈴菜ちゃん。綺麗で見違えたよ」

「マスターが悠磨さんのお兄さんだったなんて、本当にびっくりしました」

「ごめんごめん、悠磨に口止めされてたから」

 鈴菜が返すと、純也はバツの悪い顔で頭を掻く。

「やっぱり悠磨さんの仕業だったんですね」

「はは、すまない。ちょっと驚かせようと思って。君は予想通りおもしろい顔をしていたな」

「もう、ちょっとどころじゃないですよ」

 まったくすまなそうでない顔で笑う悠磨に鈴菜は口を尖らせた。

「へぇ、意外だな」

 こちらを見ていた純也は少し驚いた顔になった。

「マスター?」

「あぁ、なんでもないよ。それより鈴菜ちゃん。悠磨にも頼まれてるし、今日はしっかり協力するからね。もちろん余興も任せて。美味しいのをみなさんに振舞うから」

 披露パーティでは簡易的なバーカウンターを作って、純也に招待客の好み通りのドリンクを作ってもらうことになっていた。

「ありがとうございます! よろしくお願いします」