合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 隣の悠磨を睨むと驚く鈴菜を見て満足そうに口の端をあげた。やはりわざと黙っていたらしい。まったく腹の読めない人だ。

(そういえば、マスターはお店で悠磨さんにはあまり話しかけていなかったし、悠磨さんも好きに飲んでる感じだった)

 悠磨がムーリット・アリーに飲みにきていたのは兄の店だったからで、純也も客というより弟として迎え入れていたのだろう。

 悠磨にしてやられた感が否めないが、こんなことに弟を巻き込んだというのに協力してくれるなんて、純也が懐の深い人で良かった。

 実際義兄になるわけでもないのだから、協力者が増えたと思ってポジティブに考えよう。

(それより、マスターとお父さん、仲が悪いのかな。お父さんの態度冷たいし、マスターもお父さんを避けてるみたい)
 一度も目を合わさない親子の様子が少しだけ気にかかった。


「そろそろ、お式のお時間です。みなさまチャペルへご移動をお願いします」

 璃子に移動を促され、親族たちは部屋から出ていく。

「立てるか?」

「ありがとうございます」