合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

(きっと、私がウエディングドレスを着るのはきっと今日で最初で最後だもの。せっかくだから満喫しなきゃ)

「今日の鈴菜は誰よりも綺麗だ。俺は君を妻にもらえて幸せ者だな――これでいいかな?」

「はい、悠磨さんも世界一カッコイイ旦那様です」

 なんだかおかしくなって鏡越しにふたりで笑い合った。


 両家の顔合わせは親族控室で行われ、簡単な挨拶とともにすぐに場は和む。

「ご挨拶がおそくなり大変失礼しました」

 悠磨の父が頭を下げると、鈴菜の両親は「いえいえ、滅相もありません」と恐縮した。

 両家とも祖父母は亡くなっており、鈴菜の弟を含めた親族と叔父や叔母数名ずつの顔合わせになった。

「そういえば悠磨さんのお兄さん、まだお見えになってないですね」

 鈴菜が隣に座る悠磨に小声で話しかける

 悠磨には三歳年上の兄がいるらしく、今日初めて挨拶するはずだったのだが。

 しかし悠磨は「ああ、そろそろ来るんじゃないか」と言うだけで、あまり気にしていないようだ。

 すると、悠磨の父がこちらに向き直った。

「鈴菜さん、改めて悠磨のこと支えてやって下さい」

「は、はい、がんばります」