合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 サテン生地で仕立てられたドレスは上半身はコンパクトなオフショルダー、スカート部分はボリュームを抑えたAラインタイプで、腰から裾に穏やかに広がっている。真冬の結婚式であるのを意識して、ロングタイプのグローブを着用している。背の高い新郎に合わせるため、ブライダルシューズは普段履かない7センチヒールを着用している。

「本当に花嫁になってしまった……」

 ヘアセットもメイクも完璧に仕上げてもらった姿はどこからどう見ても、これから式に臨む新婦だった。

「……なんだかすごく緊張してきました」

 鈴菜は鏡越しに新郎に問いかける。

「今更だな」

 くつろいだ様子でソファーに腰かけていた悠磨はこちらに視線を向けて立ち上がった。

 黒髪を後ろに撫でつけ、鈴菜が持つブーケと同じ花材の白いバラがメインで作られたブートニアを胸に飾ったタキシード姿の悠磨は、試着のときとは比べ物にならないほどの美丈夫だ。

 さきほどファーストミートのセレモニーを行い、悠磨はウエディングドレス姿の花嫁を初めて見て感動する花婿役をしっかりこなしてくれた。