合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

『今日私が担当したお式、とても素敵だったんです。新婦様はとても清楚でかわいらしくて、新郎様は公務員の制服を着用されてたんですけど、すごくかっこよくてお似合でした。結婚までにいろいろ苦労があったみたいなんですが、その分、お互いを想う気持ちがこちらにも伝わってきて、周りの人たちも心からお祝いしていて、すごく幸せな空間でした』

 よっぽど感動しているのかマスターに話す声は興奮を伴い少し大きくなっていた。なんとなく興味を引かれた悠磨は柱越しに視線を向けた。

『やっぱり結婚も結婚式もいいものですね。ウエディングプランナーの仕事選んで良かったなぁ……』

 悠磨はその言葉にまったく共感できなかった。

 仕事優先で現実主義の悠磨は結婚するつもりはなかった。外見や外面、そして医師というステータスだけを見て言い寄ってくる女性は数多いたが、仕事の邪魔としか見ていなかったからだ。

 しかし、グラスを傾ける鈴菜の満たされた笑顔は不思議と印象に残った。

 その後も何度かバーで鈴菜の姿を見かけたが、これまで通りたまにいる常連客でしかなかった。