合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

(びっくりした。一瞬、私のウェディングドレスを一緒に選びたいのかと思っちゃったよ。そんなわけないのに)

「えぇと、新郎様がいらっしゃらないことも無いわけではないです。そういうときは新婦のお母様や熱心に選ばれてますよ」

「そういうものか」

「はい。あと、あえて新郎に新婦の花嫁姿を見せないでおいて、式当日に初めて披露する『ファーストミート』っていうセレモニーもあるんですが、私たちはそのパターンだっていう設定にしておきましょうか」

「わかった、任せるよ」

 悠磨は前を向いたままうなずいた。

 やがて車は駅のロータリーに入り、静かに停車する。

「ありがとうございました」

 鈴菜が頭を下げ、シートベルトを外していると「そういえば」と思い出したような声が聞こえてきた。

「君は病院が苦手なのか?」

 鈴菜は大きく肩を揺らし、顔に笑顔を張り付け彼を見た。

「……なんの話でしょう」

「さっき、小宮山さんが言いかけてたじゃないか。君が病院嫌いって」

「そうでしたっけ。聞き間違いでは?」

「誤魔化そうとしてもだめだ。新郎役をやるにあたって、そういう情報は伝えておいてもらわないと困るんだが」