合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

 土谷は目を細めて鈴菜の顔を見た。〝見つけた〟という言い方に棘を感じる。悠磨の完璧な容姿を見て代役だと決めつけているのだ。その通りなのだけど。

「ありがとうございます。私もびっくりするぐらい似合っていて驚きました」

 こうなると予想していたので心の準備はしていた。鈴菜はできるかぎり冷静に応える。

「本当にカッコイイですね。俳優さんですか? たしか、ご来館は初めてなんですよね。普通、新郎は新婦と一緒に何度も下見にいらっしゃるのですが、あまりご興味がない?」

 にやけながら冗談めかしているが、確実に探りを入れられている。きっと鈴菜がプロの代行業かなにかに頼って乗り切ろうとしているとふんでいるのだ。

「ちょっと、土谷さん失礼じゃないですか」

 璃子がたしなめようとするが、悠磨は小さく首を横に振った。

「いえ、僕は医師をしています」

「医師?」

 土谷は驚いたように目を瞬かせる。

「式のことが彼女に任せきりになってしまっているのは、あなたのおっしゃる通りです。僕も心苦しいと思っています……鈴菜、君に頼りきりですまない」

「謝らないでください。患者さんを優先するのは当然ですから」