合理主義者な外科医の激情に火がついて、愛し囲われ逃げられない

(心臓血管外科医かぁ……いや、あんまり深く考えないでおこう)

 あらぬところに意識がいっていると再びカーテンが開き、衣装を変えた悠磨が姿を見せる。

「わ、すごく素敵……」

 目を奪われるまま、無意識に声が漏れる鈴菜。

 定番の形より少し丈が長いタイプのタキシードは光沢感が抑えられた品質のいい生地で仕立てられていて、グレーの落ち着いた色調は彼の引き締まった体形をさらにスタイルよく見せている。首元のライトグレーのアスコットタイが彼の整った顔に上品な華やかさを添えていた。

「本当に素敵すぎます! これでヘアセットして小物を揃えたらどうなってしまうか。当日が楽しみですね」

「チーフの色で遊んでみてもいいかもしれないわね!」

 興奮しだす璃子や木原の様子を見てハッとする。なにを着ても似合うのでプランナーの血が騒いでしまい、彼を着せ替え人形にしてしまっていた。

「悠磨さん、すみません。いろいろ着てもらってしまいましたが、気に入ったものがあればそれを選んでいただければいいですから」

 すると、悠磨はこちらに視線をよこし、ゆったりと目を細めた。